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やじるし永田町の風 志のみ持参した永田町
 

  国政の場に送っていただいて、はや半年が過ぎようとしている。「女性が安心して子供を産み育てることのできる社会を作りたい」という志と、大阪育ち三十二年の感性で関西再生を訴え続けた。日本のために志と信念に生きるという幕末の志士の生き方に感銘をうけ、これからの日本を考えると夜も寝られなかったという「経営の神様」松下幸之助の思いを受け継いで松下政経塾を旅立ったときから、いつも大きな志だけを抱えて歩いて来た。

 
■地盤・カバン・看板
 二十歳のころ、地盤・カバン・看板のない私には、政治は非常に遠いものだった。政治家の顔が見えなかった。自民党が下野したころ、志のみ手にした松下政経塾出身の政治家が、与野党に現れた。それを見て大きな勇気を与えられた。

 「生まれる家系を選ぶことは不可能だが、志さえあれば道は開ける」。政経塾出身の政治家の多くは、私達と同じように暮らし、現地現場主義で勤勉でスピード感のある現代的な経営者の感覚を持って政治の世界に生きている。しかもその底流には、日本の伝統や文化への深い理解と愛着がある。

 私は政治とは日本国のための「政」であり、「生きる」ための制度作りだと考えている。伊藤博文も西郷隆盛も大久保利通も下級武士の出身であった。「改革」「維新」の時代、彼らの進取の気鋭が求められたのである。

 現在私は厚生労働委員会と文部科学委員会に所属している。ここでは幼保一元化(認定こども園)や教育改革、医療制度改革や雇用機会均等法の改正等が主な議題である。衆議院本会議のない日でも、自民党本部では朝八時から政策分野別にさまざまな勉強会が開かれている。

 いつも私は「改革」で暮らしはどう変わるのかという観点からの発言を心がけている。特に少子化白書をまとめる際には、「愛がすべて」「昔にもどれ」という安易な議論に、次のように訴えた。

 
■未婚・晩婚・少子化
 「女性は家事・育児に男性の十倍もの時間従事しながら、その評価はあまりにも低い。女性のほぼ半数が出産と同時に自発的に退職しているが、退職後には同じ勤務条件での再就職は事実上不可能だ。その結果、生涯賃金では二億円もの差がつき、ひいては生活や信用・社会的地位の差となる。教育を受ける際には男女平等でも、社会に出れば子供を産むことだけを期待されるのでは、教育の価値は乏しい。女性はこのような厳しい現状を熟知しているから、結婚願望を持ちながらも未婚化・晩婚化が進み、少子化が進む。従って、家事育児の評価と再就職の支援が不可欠だ」。

 この結果、「保守」や「伝統」を盾に反対していた人々の間にも、男女共同参画と少子化対策は車の両輪だという認識が広まりつつある。ささやかではあるが、このことは大きな自信となった。これからも女性が働きながら子どもを産み育てやすい制度作りに全力で取り組んでいきたい。

(大阪日日新聞 2006年2月26日付)