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やじるし永田町発 わたしの視点 「『人』と『日本』 座標軸に」
 

 有権者の皆様に永田町に送っていただいて、ほぼ1年半がたった。私はこの連載に、有権者の皆様の一人一人に手紙を書くつもりでずっと取り組んできた。今回は改めて政治家としての志を語りたい。

 「いつも現地現場主義」「市民の声を国政に届ける」「勤勉であれ」「時間を大切に」「経営感覚を持った政治家であれ」
 これは「女性が生き生きと働き、安心して子供を産み育てることのできる社会を作りたい」という、私のライフワークである少子化対策を実現させるための大きな原動力となっている。

 この行動哲学が「経営の神様」松下幸之助翁の人生訓に基づいていることは、言うまでもない。

 「真に国家と国民を愛し、新しい人間観に基づく政治経営の理念を探求し、人類の繁栄幸福と世界の平和に貢献しよう」。この塾是の言葉と掃除で始まる朝は、とりもなおさず大阪の商人の一日を想起させる。世界中どこの松下電器に行っても、「一人一人が経営者」という、リーダーとしての自覚を促す言葉が壁に張られているが、松下政経塾にも「素志貫徹、自主自立、万事研修、先駆開拓、感謝協力」の五誓といわれる行動訓があった。

 松下幸之助翁の哲学を一言で言えば、「進歩と調和」である。その根底には人間に対する絶対的な信頼と、宇宙の根源に対する畏怖(いふ)の念がある。「人間を考える」という著書によれば、「日々是新たなり、生成発展の理をもつ」宇宙の中で、人間は「万物の王者」という天命を持ち、「礼」を持って天与のすべてを受け入れ対応する必要があるという。慈悲・愛・感謝・謙虚・寛容という「豊かな心」が礼であり、政治の役割は、「礼」をもって学び衆知を集めて、「自由と秩序と発展」を柱とする「文化国家」を作り上げることであるという。人の数だけ違う解釈はあるかもしれない。しかし、私には美しい豊かな自然にはぐくまれ、戦後という乱世の中で醸成された合理的な思想が感じられるのである。

 かつて舒明天皇が「うまし国そ 蜻蛉島 大和の国は」と詠まれた日本の国は、豊かな自然の中で「明き浄き誠の心を持ち、海洋国家としてアジアの国々と交流を持ちながら、異文化をわが国のスタイルにうまく取り入れてきた。現在も中継貿易基地としての日本の地位は変わってはいない。

 私はこれからも、国際戦略と地域活性化を通じ経済成長を図る国家戦略の中で、女性の地位向上のためのみならず、労働力確保、今後の社会保障制度の構築のためにも、少子化対策に取り組んでいきたい。また、教育再生や観光立国構想の中で、「日本の心」を伝えることにも尽力したい。庶民の町・大阪で育ち、経営の神様の哲学に感化され、日本の文化の根源に触れた。この経験から、世界の中の日本と、そこに生きる人を考える政治家でいたいと思う。

(フジサンケイビジネスアイ 2007年2月1日付)